イジングモデルのモンテカルロシミュレーション:メトロポリス(Metropolis), Swendsen-Wang, Wolff アルゴリズム
二次元正方格子のイジングモデル
各格子点にある局所磁化の向きは黄と青の2色で表示されている。システムサイズは
温度などの環境が変わったとき、相互作用をする非常に多くの要素からなるシステムは、巨視的なレベルでみてミクロなレベルの法則を破るような状態に移行することがあります。
たとえば、熱い金属を冷やすと自発的に磁化が出現します。つまり、各原子のもつ小さな磁化が特定の方向にそろった状態になります。ミクロなレベルの法則では、各原子の持つ小さな磁化は特定の方向を好むわけではないので、このような状態の出現は巨視的な数の小さな金属原子があつまることでおこる現象です。
イジングモデルでは、各原子が格子点にあるとし、おのおのの原子の磁化が北や南のような正反対の二つの状態しかとらないとしたモデルです。また、温度(
このような単純なモデルですが、ある温度で急に全体がそろいだすと言う現象が確認できます。これは最初にいった自発磁化の出現に対応しています。イジングモデルはこのような性質を表現する最も簡単なモデルであるであるため、多くの研究がなされ、新しいアルゴリズムを考えるときの基本的なモデルケースとしてもよく用いられます。
上記のデモンストレーションでは、二次元正方格子のイジングモデルの状態が温度を変えるとどのように変化するかをみることができます。パラメータ
ある特定の温度での状態を生成するのに、ここではマルコフ連鎖モンテカルロ法の3つのアルゴリズム(メトロポリス(Metropolis)、Swendsen-Wang、Wolffの方法)を用いました。Swendsen-WangやWolffのアルゴリズムは小さなステップで非常にさまざまな状態をサンプリングできることが確認できるとおもいます。このようなアルゴリズムが、最近のイジングモデルのモンテカルロシミュレーションでは使われています。マルコフ連鎖モンテカルロ法やメトロポリス(Metropolis)の方法については、"オンラインで学ぶモンテカルロ法"をご覧下さい。